クロの読書録

読書と散歩、ときどき資産運用

再読のすゝめ ーねじまき鳥クロニクルを20年ぶりに読んで自分の成長を感じるー

 

一度読んだ本を再読することはありますか?

 

わたしはどちらかというと、読んだことのない新しい本を読むのが好きで、

再読は多くありません。

 

割合でいうと、

新しい本:再読 が

20:1くらい。

 

それでも、再読ってよいなと思います。

 

先日、20年ぶりに「ねじまき鳥クロニクル」を再読して、

印象的な読書体験になりました。

 

再読をしたことがないのでやってみたいと思う方、

再読は大好きだって方、

両方に向けて書いてみます。

 

それでは、つらつらと。

 


自分の成長がわかる

 

先日、村上春樹さんの「ねじまき鳥クロニクル」を読みました。

厚めの文庫本3冊の、なかなか読み応えのある長編です。

 

 

 

 

初めて読んだのは高校生の時。

20年ぶりくらいの再読です。

 

北海道の片田舎から出たことのない純朴な(?)高校生には、

村上春樹の醸し出す都会的な表現はとても刺激的だったことを思い出します。

 

カティーサーク、戦前の満州ノモンハンの戦い、娼婦とのセックスなど、

自分が属している場所とは遠い場所にある風景に憧れながら読んでいました。



今では、

 

カティーサーク  → 

 ウイスキー大好き!

 もちろんカティーサークももちろん飲んだことあるよ。

 アイラのモルトが好きだぜぃ

 

満州ノモンハン →

 長春満州の首都の新京だったところ)に出張して、動物園襲撃のモデルになった動物園を聖地巡礼してみた!!

 

娼婦とのセックス → これは、やったことないなぁ

 

と、高校生の自分では想像できなかった色々な経験を経てきたことがわかります。

 

再読をすることで、

背伸びして読んでいた高校生時代を懐かしく思い、

結構頑張って生きているんじゃないのかなと、

自分のこれまでを振り返ることができました。

 

色々なことを他人と比べるのって不毛ですが、

過去の自分と今の自分を比べるのって、結構楽しいです。



以前とは違った読み方を楽しめる

 

ねじまき鳥クロニクル」は、結構な長編なので、読むのに時間がかかります。

 

再読すると、細かい描写は忘れていても、全体の流れはつかんでいます。

 

読みたい部分をよりじっくりと読むこともできるし、

さっくりと全体を読み直すこともできる。

 

以前は気づかなかった発見や気づきが多く、さらに作品を楽しむことができます。

 

今回私は、

動物園襲撃の獣医さんが大船出身なことに気づき、

近所じゃんっ と、びっくりしました。

 

あとは、赤坂ナツメグの着ている「ネールスーツ」が気になったので、ググってみました。

インドの王族が切るような立襟のスーツのことのようで、

より赤坂ナツメグ像が鮮明になりました。

 

あのころはスマホも持ってなかったし、気軽にググったりできなかったな。

新鮮に読める

 

なんだかんだで、小説の内容については忘れています。

1割も覚えていればよい方です。

 

再読ですが、めちゃくちゃ新鮮に読めます(笑)

 

村上作品のどの登場人物がどの作品に出てくるか、

自分の中でごちゃごちゃになっています。

 

加納マルタと加納クレタが出てくるのは覚えていましたが、

赤坂ナツメグ・シナモンの登場作品は「ねじまき鳥」だったかどうかすっかり忘れていました。

 

猫の新しい名前も「いわし」だと思っていましたが、違いました。

正解は是非、自分でお確かめください。



おわりに

 

20年ぶりの再読は、自分の内面と向き合うような印象的な読書体験となりました。

 

年を重ねるごとに、怖がりになっているのを自覚していたのですが、

自分が井戸の底にいることを想像してしまい、背筋が寒くなりました。

 

様々な死について考えることで、

20代で早逝した友人たちの思い出を振り返ることになりました。

 

心を揺さぶられる感覚は、

現実的な日々の悩みを慰めてくれます。

 

楽しく本を読めるように頑張ろうと明日の活力になります。

 

 

名作の再読ってよいものですね。

 

さよなら、さよなら、さよならー(古い)