【感想】出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと
おはようございます。
まだまだ暑い日が続きますね。
突然ですが、本屋が好きです。
横浜や池袋などの大きな駅に行くときには、何箇所かはしごするのが楽しいです。
昔、地方に住んでいるときには、休みの日はイオンに行くことが多く、郊外のイオンにはだいたいヴィレッジヴァンガードが入っていました。
怪しい雑貨店のような雰囲気の本屋さんです。
店の奥にある書籍コーナーには、他の本屋と一味違った個性的なラインナップの本達が並んでいます。
少しアンダーグラウンドな本や、きれいな写真集なども並んでいて、書棚を眺めるだけでワクワクしたのを覚えています。
今回読んだ本、「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(タイトル長いです(^_^;))
は、元ヴィレッジヴァンガードの店長が書いた、実話を元にした本になります。
図書館でジャケット借りしたのですが、
予想に反して、著者の魂のこもった良書でした。
- 本が好きな人
- ヴィレッジヴァンガードの本を見ていたら30分以上経っていたことがある人
- 人に本を勧めてほしい人、本を勧めたい人
- 出会い系サイトの実態を垣間見たい人
には、とってもオススメの本になります。
それでは、感想をつらつらと。
「であすす」 著者はどんな人?
著者は花田菜々子さん。
1979年生まれの書店員さんです。
「ヴィレッジヴァンガード」に12年努めた後、
「二子玉川蔦屋家電」「パン屋の本屋」を経て、現在は「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE」で店長をしているようです。
「であすす」では、ヴィレッジヴァンガードを辞める前の1年間について書かれています。
夢中で憧れて突き進んだヴィレッジヴァンガードが、自分の思い描いていた店ではなくなっていく失望感と、
夫との別居をキッカケに何か新しいことをやりたいと思い、
Xという出会い系サイトで知らない人と会って本を勧めることを始めます。
「であすす」 感想
花田さんは夫との別居をキッカケに何か新しいことをやりたいと思い立ちます。
そんなとき、「知らない人と30分だけあって話してみる」ことができる、Xという出会い系サイトを見つけ、知らない人に本を勧めることをやってみようと一歩を踏み出します。
飛び込んで見ると、エロ目的の人や虚言癖な人など、辟易とする出会いもあったものの、
かわいい女子や、やさしい女性のコーチング、意識の高いフリーランスなど、魅力的で様々な人との関わりが生まれてきます。
初めての人と会って、その人に会う本を勧めるのは難しく、四苦八苦しながらも続けていくうちに、花田さんがどんどん変化していくのがわかります。
初対面の人とコミュニケーションをたくさん取ることで、
4対4の合コンでは無敵になったり、
出会い系サイト以外でも、素敵だなと思う人と話しかけられるようになったり、
昔から憧れていた書店の店長と会いにいったり、
と、花田さん自身がどんどんレベルアップして、魅力を増して行きます。
出会う人々も魅力的な人がたくさんいて、さながら都会の街で魑魅魍魎と出会いながら成長していく冒険小説のようでした。
少しの成長体験を積み上げていくことで、
全く別の景色が見られるようになった花田さん。
行動することの大切さを感じました。
「であすす」出てくる本も魅力的
さすがにヴィレッジバンガードの店長ということもあり、
花田さんが人に紹介する本が面白そうで、読んでみたくなります。
物語の終盤、
花田さんは他2人の本好きと一緒に、
来てくれた人に合いそうな本を紹介するというオフラインイベントを主催します。
1人の人に対して3人が寄ってたかって本を紹介する、とても面白そうなイベントです。
同じ人へのプレゼンでも、3人が勧める本がそれぞれに違っていて面白いです。
メジャーどころとはちょっと外れていて、さすがヴィレッジバンガード出身って感じです。
読んだことがあるのは沢木耕太郎の深夜特急くらいで、未読本ばかりでした。
巻末に作中で紹介した本一覧をメモしたので、これを今後の読書の参考にするのも楽しそうです。
さいごに
なんとはなしに図書館で借りた本でしたが、
予想以上に面白く、夢中で読んでしまいました。
書店員さんの実話を元にしたお話で感動さえ覚えます。
少し前に碧野圭さんの小説「書店ガール」シリーズを読んでいて、
そこで紹介される本を繋げて読んでいくのが楽しかったのですが、
今回の「であすす」は「書店ガール」とは、
またちょっと違うジャンルの本を勧めてくれたので、
今後の読書がより楽しくなりそうです。
それでは、今日はこのへんで。