クロの読書録

読書と散歩、ときどき資産運用

「りゅうおうのおしごと!」 〜熱く血がたぎる将棋ライトノベル〜

 

今週のお題「暑すぎる」。

私がそれを見て思い出したのは将棋を題材にした、「熱すぎる」ライトノベルりゅうおうのおしごと!」です。

漢字違いだけどいいよね?

 

 

最近、将棋の藤井聡太さんが大活躍ですね。

 

2020年8月20日、王位を奪取して、

棋聖と合わせて2冠となり、最年少で8段に昇格しました。

 

私の将棋の腕前自体は、昔祖父とやっていたくらいでヘボなのですが、将棋ニュースを見るのは大好きです。

 

将棋って、専門用語の名前とか格好良いですよね。

戦型の内容は、少ししかわかっていませんが、

「相矢倉」とか、「藤井システム」とか、「一手損角換わり」とか、

必殺ワザみたいで格好いいなぁって思っています。

 

とにかく将棋の世界に生きる人達が「熱すぎる」ため、手に汗握る、熱いラノベです。

 

ラノベってだけで、少し敬遠してしまう自分もいたのですが、「りゅうおうのおしごと!」は、ラノベ読んだことがない人にも是非お勧めしたいです。

内容が、ただただ熱く、面白いですよ。

 

それでは、ぽちぽちと。

 

りゅうおうのおしごと!」に出会ったキッカケ

 

私が将棋界により興味を持つようになった最初のキッカケは、マンガの「3月のライオン」。

主人公がプロ棋士の高校生で将棋界のことが詳しく書かれています。

内容を監修しているプロ棋士先崎学さん(9段)のコラムが結構面白い。

本物のプロ棋士目線で、マンガで描かれる世界観が補足されるので、ただのフィクションではない深みを感じます。

マンガは借りて読むことが多いのですが、「3月のライオン」だけは、新刊が出るたびに買って読んでいます。

 

私の経験上、マンガよりも小説で読むと、知らない世界のより詳細でマニアックな解説が描かれていることが多いと思います。

例えば、自転車レースの世界では、

マンガの「シャカリキ!」「弱虫ペダル」を読んだ後に、小説の「サクリファイス」を読むと、

より自転車レースのことがわかって楽しい、みたいな。

 

より将棋ウォッチを楽しむために、将棋を題材にした小説はないかなぁと、探していました。

そう思って 図書館をぶらぶらしていた時に、「りゅうおうのおしごと!」と出会いました。

 

りゅうおうのおしごと!」どんなお話?

 

りゅうおうのおしごと!」は2020年8月現在、13巻まで刊行されているライトノベルです。

私は、現在10巻まで読んでいるところ。

すぐに最新巻まで読みたい思いと、のんびり楽しみを引き伸ばしたい思いで葛藤しています。

その読みやすさから手に入れてしまうと1日で読み終わってしまうんですよね。

 

主人公の九頭竜八一は16歳にして、棋界の2大タイトルのひとつ「竜王」を奪取した天才ですが、スランプに陥り、公式戦11連敗中。

そんななか、1人の女子小学生「雛鶴あい」が自宅に訪ねてきて、弟子入りを志願します。

はじめは弟子をとる気などなかった八一でしたが、あいの飛び抜けた才能を感じ、そのまま内弟子にすることを決めます。

 

物語は巻が進むごとに、八一の竜王防衛戦や順位戦、あいが女流棋士になるための戦いなどが描かれていきます。

魅力的なキャラクターがたくさん登場し、それぞれが一生懸命戦っています。

八一の師匠や、女流棋士を目指すその娘。

八一の年下の姉弟子。

あいと切磋琢磨する小学生の棋士や仲間たち。

様々な棋戦で八一と対戦するライバルたち。

 

プロ棋士女流棋士になるための熾烈なライバル争いや、解説や普及の仕事など、将棋ファン以外は全く知らない、独特で魅力的な将棋界の姿が描かれています。

 

りゅうおうのおしごと!」なにが面白い? 

勝負の世界に生きる熱い戦い

 

私が感じる「りゅうおうのおしごと!」の一番の魅力は、勝負の世界に生きる人達の熱さを感じることです。

ライトノベルなので、文章自体は凄く読みやすいですが、内容は濃厚で、作中に人たちが持っている苦しいまでの情熱が伝わります。

将棋に人生のすべてを賭ける。

それだけで、漫然と生きている一般人とは密度が違います。

壁にぶち当たったときの絶望感や、追い詰められた後に壁をぶち破る成長がドラマチックです。

 

作者の将棋への熱い思いが伝わります。

作者の白鳥士郎さんは熱心な将棋ファン。

ときどき観戦記者も務めるみたいです。

情熱を感じます。

 

将棋界の独特の世界がわかるようになる

 

りゅうおうのおしごと!」を読んで、面白かったのは、将棋界の様々な独特の慣習・ルールがわかるようになること。

歴史も長いからか独特のルールが多く、新しい知識が入ってきて、知識欲がビンビンに満たされます。

 

タイトル戦

 

将棋のタイトル戦っていくつあるか知っていますか? 

2020年現在の公式選タイトルは8つ。

竜王、名人、叡王、王位、王座、棋王、王将、棋聖の8つ。

りゅうおうのおしごと!」を読む前は、名人が格が高いのはなんとなく知っていたのですが、竜王も名人と同格のタイトルなのを知りました。

竜王と名人はその歴史から、他のタイトルとは別格のようです。

未だに竜王と名人のどちらが位が高いのかは、少し調べてみましたが、はっきりとわかりませんでした。

 

それぞれのタイトルで、挑戦者の決め方も様々です。

よく聞くA級、B級、C級は名人戦のリーグのことでした。

1年をかけてリーグを戦い、A級1位だけが名人に挑戦できます。

名人戦の挑戦者になるには、プロデビューしてから最短でも5年かかります。

比べて、竜王戦は短期戦。

壮絶なトーナメントに勝ち抜けば、プロデビュー1年目からでもタイトル挑戦可能です。

 

プロ棋士女流棋士

 

プロ棋士女流棋士の違いも「りゅうおうのおしごと!」を読むまでは、私はよく知りませんでした。

実際には、プロ棋士女流棋士の力には結構な差があるようです。

プロ棋士へは「奨励会」に入会して、リーグを勝ち抜き、4段に到達した場合になれるものです。

女流棋士奨励会とは別の、研修会で勝ち抜いて、B2級に昇給するとなると、女流棋士の資格を得られます。

(プロ棋士女流棋士も、他に資格を得る方法もありますが、複雑なのでここでは割愛します。)

作中の女流タイトル保持者も、奨励会に挑戦するも初段に上がることができずに、挫折しています。

それくらい、プロ棋士女流棋士って違うものなのですね。

 

2020年8月現在、現実の世界では、女性でプロ棋士になった方はまだいません。

今は奨励会の3段リーグで西山朋佳さんがプロ棋士に挑戦しています。

昨年の3段リーグでは14勝4敗の好成績を挙げたにも関わらず、より順位の高かった同じ14勝4敗の2人が4段に昇段し、西山さんは惜しくも3位で4段昇段には至りませんでした。

なにそのドラマ・・・

事実は小説より奇なりってやつですね。

 

りゅうおうのおしごと!」の作中でも、主人公の姉弟子である空銀子がプロ棋士になるべく挑戦しています。

ある意味では、プロの棋戦よりも大変な3段リーグ。

精神が追い込まれる壮絶な戦いが描かれています。

現在、私は10巻までしか読んでいないので、銀子は3段リーグに挑戦中です。

10巻では3段リーグでぼろぼろになった銀子が描かれていますが、これから続きの巻を読むのが楽しみです。

頑張れ銀子。負けるな銀子。

応援しているよ。

(現在、13巻まで発売しているので、結果は出ているとは思いますが。)

  

さいごに

 

軽い気持ちで書き始めましたが、「りゅうおうのおしごと!」の面白さや、将棋自体の面白さを伝えるには全然書き足りませんでした。

 

居飛車党と振り飛車党の永遠の戦い、コンピュータのソフトの進化による将棋の変化など、紹介した以外にも今まで知らなかった面白さがたくさん描かれています。

 

読書の面白さって、自分の知識や興味がどんどん広がっていくのが、醍醐味だと思います。

 

将棋好きの方にも、そうでない方にも、「りゅうおうのおしごと!」オススメです。 

 

それでは、今日はこれにてドロンさせていただきます(古い)。

 

 

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)