クロの読書録

読書と散歩、ときどき資産運用

「神様のカルテ」シリーズ 〜地方医療のリアルと患者への誠実さ〜

 

涙を流してデトックスしたいときはありませんか?

 

私は泣くと気持ちがすっきりするので、定期的に小説を読んで泣くようにしています。

仕事が忙しいときは、朝、仕事前に早起きしてカフェで少しでも読書をしてリフレッシュ。

 

そんなときに効果抜群なのが「神様のカルテ」シリーズです。

カフェや電車で読みだすと周りの方に変な目で見られること請け合いです(笑)

 

このシリーズの良さは主人公である一止の患者への誠実さ。

劣悪な労働環境ながらも、悩みつつ信念を持って患者に向き合う姿にいつも感動します。

作者の夏川草介さんは信州大学医学部卒業のお医者さんのようで、地方医療のリアルも垣間見えます。 

 

それでは、シリーズのあらすじと感想をつらつらと。

ここからはネタバレ注意です!

 

神様のカルテ」シリーズの感想 

 

神様のカルテ

 

栗原一止は松本にある本庄病院に勤務する29歳の内科医です。

夏目漱石をこよなく愛する変わり者で、当直では謎の引きで救急患者が止まらない。

「24時間365日対応」のコンビニみたいな病院で、人手不足で劣悪な環境の病院で四苦八苦しています。

そんな忙しい日常の中、ある日大学病院から匙を投げられた癌患者が出戻ってきます。

患者の気持ちに寄り添いながら戦う一止の姿に、涙せずにはいられません。

 

一止が住むボロアパートの御嶽荘に住む変わった住人達も物語に花を添えてくれます。

「男爵」にくすっと笑わせられたり、「学士殿」の知性と悩み新たな出発に感動したり、すべてのキャラクターが立っていて、作品に深みを与えてくれています。

忙しい中でも御嶽荘のみんなと飲む日本酒やウイスキーがとっても美味しそう。

 

感動と笑いがたくさん詰まった、

全てのはじまりとなるシリーズ第1作。

  

神様のカルテ

 

本庄病院に信頼する親友、新藤が加わり喜んでいた一止だったが、新藤の評判が良くありません。

育児のため帰らざるを得ない新藤の姿を通じて、過酷な医師の労働環境、地方の医師不足が改めてリアルに描かれます。

この第2巻はいろいろな夫婦やカップルが登場し、仕事と家庭の両立について考えさせられる内容になっています。

 

そして、古狐先生こと尊敬する副部長内藤が癌におかされていることが発覚します。

長年寄り添い続けた内藤夫妻の関係性に、とっても憧れます。

読んでいて、自分は後悔のない人生を歩けているか問われているように感じました。

 

御嶽荘の住人も相変わらず楽しいです。

2浪して農学部に入学した人生に悩む若者、屋久杉くんが加わるなど、相変わらずにぎやかに物語に彩りを添えてくれます。

 

神様のカルテ

 

内藤が亡くなった穴を埋めるため、本庄病院に新たに小幡女史が加わります。

小幡は脂ののったベテランで臨床の腕もあり、研究熱心で尊敬できる人物です。

一止は相変わらず多忙で過酷な日常ではあるが、同期の新藤や砂山とともに懸命に仕事を努めます。

 

そんな中、小幡が患者を意図的に選別しているように思える事例が気になってきて・・・・・・

小幡の過去や信念、知識に触れるにしたがって、一止自身このままでよいのか迷いが生じます。

 

最後では、本庄病院で様々なことを経験し、懸命に生きてきた一止が、さらに成長すべく一歩を踏み出すことに決断します。

悩みつつ進むことに決断した一止の決断が、本当に尊いものだと感じました。 

 

神様のカルテ

 

 一止の学生時代、研修医時代を描いたスピンオフ作品です。

おなじみの一止、新藤、如月、砂山の出会いや若き日の恋愛模様が描かれます。

 

若くから変人で好きながら如月に伝えられない一止の姿が魅力的。

結婚する榛名や本庄病院の面々との出会いが描かれていて、ファンにはたまらない一冊です。

 

正直なところ、細かい内容を忘れてしまったので、この感想を書いていて、また読み返したくなりました。

 

新章 神様のカルテ

 

神様のカルテ0から4年。ファン待望の新章です。

 

本庄病院から大学病院に移って2年、一止は内科医として働きながら大学院生として勉強しています。

榛名との間には娘の小春が誕生しています。

時の流れを感じます。

 

本庄病院から大学病院に移り、環境の変わった一止ですが、変わらない一生懸命な姿。

大学病院では地方の基幹病院だった本庄病院とは違う面が様々あります。

なんでも屋の地方の基幹病院とは違い、チームで一人の患者にあたる大学病院。

一止のエピソードを通じて、大学病院の良い面と悪い面がリアルに描き出されます。

 

大学病院で本庄病院での勤務とは環境の変わった一止ですが、

患者に寄り添う姿勢は変わらず、もがきながら成長していく姿に感動。

  

おわりに

 

振り返ってみて、やっぱり大好きなシリーズであることを実感しました。

早く続きが読みたいです。

 

最新作の新章は2019年1月に発売されています。

その前の巻から4年経っていることを考えると、次の巻があったとしても、もう少し待つことになりそうです。

 

神様のカルテ」シリーズが続いていくことを期待しています。